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[情報誌Q vol.86特集①]芸術文化を支える、みんなの手

(2026年6月22日公開)

演劇やコンサートを楽しみに、多くの観客が訪れる劇場やホール。スポットライトに照らされた華やかな舞台は、たくさんの“手”によって支えられています。拍手を贈る手、裏方として支える手、芸術文化を愛する手…。今回は、その中から3つの“手”に着目してみました。


『才能を見出し、育む手』
北九州市の若い芸術家を育む会パドロニーニ 理事長 田中陽子さんの記事はこちら


『舞台を支える、観客からは見えない手』
北九州芸術劇場 舞台技術管理課 照明・映像係 大久保望さんの記事はこちら


『文化を守り、つなげる手』
福岡県合唱連盟顧問 岩﨑洋一さん

合唱は人間形成の要
地域に根を張り未来を支える

合唱は、人を育て、地域をつなぐ文化――。そう語るのは、北九州市少年少女合唱団の指導を約40年にわたり担い、市民合唱や教育現場など、長く地域の音楽文化を支え続けてきた岩﨑洋一さんだ。

福岡県合唱連盟顧問 岩﨑洋一さん
福岡県合唱連盟顧問 岩﨑洋一さん

東京藝術大学で声楽を学んだ後、福岡教育大学で教壇に立っていた岩﨑さんは、北九州混声合唱団や西日本オペラ協会などで活動しながら、創設間もない北九州市少年少女合唱団の指導に携わるようになった。以来、定期演奏会や海外公演などを重ねながら、多くの子どもたちと向き合ってきた。

「子どもたちは正直なんです。前に立つ人が信頼できるか、今の時間が面白いか、すぐ反応に出る。だから、どう伝えるかをずっと考え続けてきました」

少年少女合唱団での活動は、岩﨑さんにとって大きな学びの場でもあったという。限られた練習時間の中で、試行錯誤を重ねながら、長年にわたって子どもたちと向き合い続けてきたその経験は、今も指導の軸となっている。

戦後、学校教育や合唱コンクールを通して日本の合唱文化は広がっていった。北九州市でも、多くの指導者や市民が“歌う場”を支え、その流れの中で少年少女合唱団も各地に生まれていった。その歩みを現場で見続けてきた岩﨑さんは、「文化は人が育てるもの」だと語る。

「人が財産なんです。専門性を持ち、その文化を愛して追求し続ける人が、水をやり続けないと文化は育ちません」


声を重ねることで生まれる居場所

そう語る岩﨑さん自身もまた、今なお現場に立ち続けている。現在は、平均年齢87歳の「80歳からの合唱団北九州」にも関わる。
学校教育を通して歌に親しむ機会は多い一方、高齢になってから継続的に参加できる合唱活動の場は決して多くない。人生の後半も歌い続けられる環境の必要性を感じていた岩﨑さんは、「80歳からの合唱団北九州」の立ち上げにも携わった。当初の想定を大きく超える反響を呼び、現在では約120名が参加する活動へと広がっている。

「80歳からの合唱団北九州」2023年コンサート
「80歳からの合唱団北九州」2023年コンサート

歌うことが、人とつながるきっかけになり、外へ出る理由にもなる。長年歌い続けてきた人も、初めて参加した人も、声を重ねれば自然と居場所が生まれるという。子どもから高齢者まで、世代を超えて人を結び続ける合唱。その歌声は今も、この街に根を張りながら受け継がれている。


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※この記事は情報誌『情報誌Q vol.86』2026年7月号の特集を元に編集・掲載しています。

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