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【情報誌Q84特集】触れれば、分かちあいたくなるみんなの芸術文化。

演劇やダンスや音楽は、ときには地域や社会が抱える課題に寄り添い、新しい気付きや解決のきっかけになることもあります。芸術文化は、特定の人だけのものではなく、例えるならみんなの身近にある光のようなもの。その光は、誰もが手を伸ばせば触れられるところにあり、一度触れれば自然と誰かと分かちあいたくなる、そんな魅力を持っています。今回は、これまで劇場や響ホールが地域で行ってきた取り組みに共感してくださった方々の「声」を集めました。手を伸ばして、次にこの"光"に触れるのは、あなたかもしれません。


【Voice】
株式会社スターフライヤー
経営企画本部 隈元果奈さん

\部署を超えて生まれた一体感でお客様に驚きと笑顔を届ける。/

空の旅や飛行機をイメージしたダンス「そらダン」を作り、PR動画を制作する劇場との企画をご一緒してから早10年。完成後も「わっしょい百万夏まつり」の企業パレードで踊り続けてきました。パレードの練習では、羽田空港から社員が駆けつけてくれたり、社員の家族も一緒に振付を覚えたりと、みんなで会社を盛りあげようという一体感が生まれたのもよかったと思います。

航空会社とダンスは、なかなか結びつかないジャンルだからこそ新鮮な驚きと同時に喜んでいただき、「スターフライヤーは面白いことをしているな」と親しみやすさも感じてもらえたと思います。振付には、業務で使うサインなども盛り込まれており、ダンス未経験の人でも楽しく踊れます。一緒に踊ることで、普段あまり話すことのない部署の人ともコミュニケーションがとれ、関係が深まるきっかけにもなりました。これからも芸術文化との融合を大切にしながら、新しい事に挑戦し続ける航空会社でありたいと思います。

北九州芸術劇場:地域のアートレパートリー創造事業「そらダン」
Youtube「そらダン」PV

スターフライヤー「そらダン」

 


【Voice】

北九州市立八幡図書館(株式会社図書館流通センター)
館長 富原まさ江さん

\芸術文化の融合が、潤いや生きる支え、喜びをもたらす。/

毎年、響ホールと「朗読コンサート」、劇場と「戯曲講座」を続けています。響ホールとは距離も近く、互いに回遊性が生まれました。コロナ禍の朗読コンサートは、開催できるかどうか当日まで綱渡りの状況でしたが、147名が参加。「久しぶりに生の音楽を聴いて涙が出た」「外出が制限されている時期だからこそ、もっと本を読もうと思った」といった声も寄せられ、芸術文化が人の心に潤い、喜びをもたらすことを実感しました。

また、“市民”の記憶を戯曲化して次世代につなぐ「Re:北九州の記憶」には、公共図書館の役割との親和性を感じています。戯曲を通じて地域に暮らす人の歴史を知り、追体験する機会は、図書館単独では提供できません。全5回の戯曲講座を「毎回楽しみ」と語る参加者の生き生きとした姿にふれるたび、シビックプライドの醸成につながっていると感じます。ホールや劇場との協働は、市民が文化の融合を体験し、視野を広げる機会を生み出していると思います。

響ホール:ひびきつながるプロジェクト(地域との連携)
北九州芸術劇場:ひとまち+アーツ協働事業(地域連携|文化施設との連携)

 


【Voice】

北九州市立霧丘小学校
教諭 萩原雅代さん

\子どもたちの心を揺さぶり、夢や希望を抱かせてくれる。/
-芸術体験がひらく子供たちの夢と可能性-

なかなか劇場に足を運んで本物の芸術に触れる機会のない子どもたちを「本物に出会わせたい!」と思い、これまでに赴任した学校を含め、演劇やダンスのワークショップを3回お願いしました。子どもたちの目は毎回キラキラと輝き、教室では見られないほど生き生きとしています。授業中は静かな子がとても意欲的に動き考え行動していたこと。また普段あまり認められる機会のない子が「○○さんすごい!」と認められ、自己肯定感が少し上がったように感じられました。「ダンスって楽しい!」「振りを踊るだけじゃなく、自分の思いを自由に表現していいんだ」と感じた子も。

卒業文集には「将来の夢は劇団員になること。劇団員の方が創る楽しさ演じる楽しさを教えてくれた。とても楽しくて、もっと演じてみたいと思った」と書いた子もいました。本物の芸術は、子どもたちの心にダイレクトに響き、目に見えない力で心を揺さぶります。子どもたちの可能性を広げ、夢や希望を抱かせる―そんな素晴らしい体験だから、周囲にもおすすめしています。自分の可能性や夢を少しでも広げてほしい。これからもこの事業に応募したいと思います。

北九州芸術劇場:キタQアーティストふれあいプログラム

 


「文化的コモンズ」としての劇場とホール

お祭りが近づくにつれて、どこからか太鼓や鉦の音が聞こえてくる。公園や公民館など、いろんな場所で踊りやお囃子の稽古が行われる。お祭りの当日は、山車や神輿が道路を練り歩き、神社や広場には大勢が集まる。誰も彼も分け隔てなく、至るところで、参加も、見学も、出入りも自由。お祭りは、そんな光景が出現する。

劇場やホールはどうだろう。イベントがある日もあれば、ない日もあるけれど、実は、毎日何かが動いている。公演の準備や稽古、ワークショップ、さらには、建物から学校や街に飛び出して、住民に芸術文化を届けている劇場やホールもある。

「文化的コモンズ」という言葉がある。「地域の共同体の誰もが自由に参加できる入会地のような文化的営みの総体」という意味。なんだか難しく感じるかもしれない。でも、例えば、まちのあちこちで、太鼓の音が聞こえて、踊りの稽古があって、普段は出会わない人と出会う「お祭り」がそうであるように、誰も彼も分け隔てなく、まち全体で、文化や芸術に自由に触れることができるような状態。それが「文化的コモンズ」なのだ。きっと、まちがそんな風になることを目指して、劇場やホールは、今日も動いている。


 

✅参加募集や公演情報など、芸術文化イベントに関するこちらから!
J:COM北九州芸術劇場

北九州市立響ホール


「情報誌Q vol.84」PDF版(公開中!)ぜひご覧ください。

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